整体施術をしていると、よくお客様から、肩こりのゴリゴリについて質問されます。
多くの方は、肩こりのゴリゴリが筋肉のコリで、ほぐせばなくなると思っています。
ですが、実は、この肩こりのゴリゴリは、筋肉ではないことがあり、その場合には、いくらほぐしてもなくなることがありません。
この記事では、肩こりの時のゴリゴリの正体と、ゴリゴリの対処方法についてご説明します。
首と腰のゴリゴリについてはこちら
肩こりのゴリゴリの正体
肩こりでゴリゴリする場所というのは、一か所ではありません。
肩こりでゴリゴリする場所は主に3か所あります。
首の付け根と肩の間
皆さんが肩こりで一番ゴリゴリを訴える場所が、首の付け根と肩の間の部分です。
\肩こりで一番ツライ場所ですね/
マッサージなどに行くと、肩が凝ってますねとこの部分をゴリゴリされます。
この部分には、確かに僧帽筋という肩こりの代表的な筋肉があります。
ですが、実はこの場所のゴリゴリは、副神経と呼ばれる神経であることが多いです。
副神経というのは、この場所の僧帽筋を動かす神経です。
神経ですから、いくらゴリゴリやってもほぐれてなくなることはありません。
また、あまり刺激しすぎると、神経に炎症が起こってしまいますので、注意が必要です。
肩甲骨の間
次に多いのが、肩甲骨の間辺りにあるゴリゴリです。
この部分のゴリゴリは、物凄く硬い感じがすることがります。
それは、なぜかと言えば、肋骨の硬さだからです。
実は、この場所のゴリゴリは肋骨(骨)の硬さであることが多いです。
\肩甲骨の間には肋骨があります/
通常、肋骨というのは、ふわふわと柔らかい感じがします。
骨なのに柔らかい感じがするのは、肋骨の関節がショックを吸収してくれるからです。
ですが、肩こりの人は、肋骨の関節が硬くなっているので、肋骨を押したときに関節がショックを吸収せずに、抵抗感が生まれます。
この抵抗感が、肩こりのゴリゴリした感じです。
関節が硬くなければ、肋骨を押しても、ゴリゴリしないんですね。
はい、肩こりのない人や、子供の肩を触っても、ゴリゴリせず、柔らかい感じがします。
首の付け根
首の付け根辺りの肩こりに対しても、ゴリゴリ感を訴える方がいらっしゃいます。
この部分のゴリゴリは、頸椎(首の骨)の横の出っ張りであることが多いです。
一方で、この場所は肩甲挙筋という肩こりでは、必ずほぐす必要のある筋肉がある場所です。
ですから、頸椎の横の出っ張りなのか、肩甲挙筋の硬さなのかを、しっかり区別する必要があります。
頸椎の横からは神経が出ていますので、ゴリゴリを押した時にしびれたり、重だるい感じがした場合には、神経の場合もありますので、注意が必要です。
本当に肩こりのゴリゴリは筋肉のコリ?
肩こりのゴリゴリが、実は筋肉ではなく、神経や骨である場合があることを上記しました。
では、肩こりのゴリゴリが筋肉のコリであることは本当にあるのでしょうか?
筋肉自体がゴリゴリになることはない
筋肉がゴリゴリになるということは、筋肉の組織が変化してゴリゴリに硬くなるということです。
ですが、肉離れなどで筋繊維が切れたり、怪我などで筋繊維が損傷しない限りは、筋肉の組織がゴリゴリになることはありません。
では、筋肉のコリって何なのでしょうか?
実際のところ、筋肉のコリとは、どの組織がどんな状態になったものかということは、私は知りません。
私は、筋肉のコリという言い方は間違っているのではないかと思っています。
筋肉のコリと呼んでいるものは、実際には違う何かかもしれないんですね。
マッサージや指圧で筋肉が柔らかくなるのは?
筋肉を触ると、確かに硬くしこりのように感じる部分はあります。
そして、マッサージや指圧などで筋肉が柔らかくなったと感じることもあります。
ですが、マッサージや指圧をする時には、骨や神経も一緒に押していて、筋肉が柔らかくなるというよりも、関節や神経の動きが良くなっていることが多いです。
また、筋肉自体が柔らかくなるのではなくて、筋肉を包んでいる筋膜の硬さが柔らかくなっています。
〇筋膜の硬さとは?
体には、筋肉が沢山あります。
沢山ある筋肉が、それぞれの筋肉の動きを邪魔しないのは、それぞれの筋肉が筋膜という膜に包まれているからです。
では、その筋膜が硬くなると筋肉が伸び縮みしなくなるので、筋膜を柔らかくしましょうというのが、最近流行の筋膜リリースです。
ですが、本当に筋膜は硬くなるのでしょうか?
多くの場合では、筋膜自体が硬くなっているのではなくて、筋膜同士の滑りが悪くなっているのではないか?というのが本当のところです。
筋肉はそれぞれ違った方向に伸び縮みするので、触れあっている筋肉同士はお互いの動きを邪魔しないために、ツルツルと滑って動いています。
このツルツルと滑る動きが悪くなっているのが、筋膜の硬さや筋肉のコリと言われている状態なのではないかと、私は思っています(私見です)。
真実はどうなっているのかはまだわかりませんが、この筋膜同士の滑りを良くすると、筋肉の硬さや機能が回復します。
肩こりのゴリゴリの対処方法
では、肩こりのゴリゴリにはどのように対処すれば良いのでしょうか?
神経であった場合
肩こりのゴリゴリが神経であった場合は、マッサージ等でほぐしてはいけません。
神経自体は、マッサージをしても柔らかくなったはしません。
また、ゴリゴリと刺激をしすぎると、神経自体が傷ついて炎症を起こしてしまうこともあります。
本当は神経をゴリゴリしすぎて炎症を起こしているのに、マッサージの揉み返しであるといったりしますが、それは間違いです。
神経自体は、ゴリゴリとマッサージするのではなくて、引っ張って動かす必要があります。
〇神経は引っ張って伸ばすと良くなる
神経というのは、電気信号を伝える配線です。
筋肉のように、自ら伸び縮みすることが出来ません。
抹消神経系の障害というのは、主に神経が体の伸び縮みについていけなくなってしまうことにあります。
※脳や脊髄といった中枢神経の障害は原因が違います。
足を伸ばした時に、神経がついていけなくて、しびれや痛みが出るのが坐骨神経痛です。
手を曲げ伸ばしした時にも、神経がついていけないと、同じことが起こります。
こういった時には、神経が体の動きについていけるように、神経を引っ張ったり、動かしたりする必要があります。
こういった手技をリハビリでは、神経系モビライゼーションと言います。
関節(骨)の硬さであった場合
肩こりのゴリゴリが、関節(骨)の硬さであった場合も、ほぐそうとしてマッサージしてはいけません。
硬い骨をほぐそうとしてもほぐれませんし、強くマッサージすると、皮膚や筋肉を骨と挟み込み、傷つけてしまう可能性があります。
骨のゴリゴリ感は、関節が硬くなっているサインですので、関節を良く動くようにする必要があります。
肩こりの関節のゴリゴリ感は、肋骨の関節(肋椎関節)の硬さです。
肋骨の関節をモビライゼーションという手技で動かしたり、矯正したりすることで、ゴリゴリ感がなくなります。
肩こりゴリゴリ正体のまとめ
〇肩こりのゴリゴリは筋肉のコリではないことが多い。
- 首の付け根と肩の間のゴリゴリは、神経のゴリゴリ
- 肩甲骨の間のゴリゴリは、肋骨のゴリゴリ
- 首の付け根のゴリゴリは、首の骨の出っ張りのゴリゴリ
〇肩こりのゴリゴリの対処方法
- 神経は、引っ張って伸ばす(神経系モビライゼーション)
- 関節は、モビライゼーションや関節矯正
〇肩こりのゴリゴリの注意点
- ゴリゴリが神経であった場合には、ゴリゴリしすぎると神経が炎症を起こしてしまうので注意
- ゴリゴリが関節の硬さであった場合には、ゴリゴリしすぎると皮膚や筋肉を挟み込んで痛めてしまうので注意
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