最近では、腰痛の原因はストレスにあるということが言われています。
ですが、本当にそうなのでしょうか?

そもそもストレスという言葉が曖昧なので、まずはストレスについてご説明します。
その後で、腰痛の原因がストレスにあるのかを考えていきます。
腰痛の原因はストレスにあるというのは本当か?
そもそもストレスとは?
ストレスという言葉が今現在の意味で使われるようになったのは、カナダ人の生理学者であるハンス・セリエ(1907~1982)によって提唱されたストレス学説(1936)からであると言われています。
ストレス学説をざっくりいうと、人間の体の外部からの刺激が、体の内部に反応を起こすという学説です。
今聞くと、そんなことは常識であると感じますが、どうやらストレス学説が発表された当時は、こういった考え方がなく、パラダイムシフトと言えるくらいの衝撃だったようです。
ストレス学説によると、外部からの刺激をストレッサー、体の内部で起こる反応をストレスと呼びます。



今現在では、ストレッサーもストレスも、一緒にしてストレスと呼んでいますね。
ストレッサーには、物理的ストレッサー・化学的ストレッサー・生物的ストレッサー・心理的ストレッサーなどがあります。
物理的 | 暑さ寒さ・気圧・光・音・圧力 |
化学的 | 化学物質・有害物質・薬剤 |
生物的 | 細菌・ウィルス |
心理的 | 緊張・不安・怒り・恐れ |



こう見るとストレスってたくさんあるんですね。



一般的には、心理的ストレッサーのことをストレスということが多いですが、実際には人間の内部に反応を起こす外部からの刺激のことなので、沢山あります。
ストレスを受けるとどんな反応が起こる?
人間の体は、外部からの刺激を受けた時に、体の内部環境を維持しようとします。



例えば、気温が10℃になった時に、体温も10℃になってしまったら大変ですね。
そうならないように、体は色々な反応を起こして、体温を維持しようとします。
こういった体の内部の環境を維持しようとする反応が、外部の刺激に合わせて起こるようになっています。



環境が変化しても、体の内部の状態を維持するために、体が頑張ってくれているんですね。
ストレスに対抗するために、体では、様々なホルモンが分泌されてたり、自律神経が働いて、体の内部環境を維持します。
ストレス状態が続くことが問題
現代で使われているストレスのイメージから考えると、ストレスはない方が良いと考えてしまいます。
ですが、ストレスがまったくないと人間は生きていくことが出来ません。



例えば、重力という刺激がなければ、人間の体は機能を維持できません。
また、免疫の機能や、循環の機能、内臓機能、筋肉や神経のの機能など、ありとあらゆる人間の機能が、外部からの刺激とのやりとりで維持されています。
では、ストレスの何がいけないかというと、ストレス状態が過剰に続くことです。
人間の体は、長期間ストレスに対抗することが出来ません。
必ず限界があります。



確かに、サウナにも少し入るなら気持ちいいですが、何時間も入ることは出来ないですもんね。
ストレスに対抗できなくなった時に、病気になったり、体に不具合が起こったりします。
腰痛の原因はストレスにある?
腰痛の原因をストレスの観点から考えると、物理的なストレッサー・心理的なストレッサーが考えられます。
物理的なストレッサーというのは、体にかかる圧力です。
姿勢が悪かったり、長時間座っていたりすることで、筋肉や関節には過剰な圧力がかかります。
心理的なストレッサーというのは、緊張です。
緊張することで、筋肉が硬くなったり、血流がわるくなったりします。



腰痛にも内臓の病気が原因であったりすることもありますが、多くはストレス(外部からの刺激)が原因であると言えます。
ストレスの観点から考えると、腰痛の原因はストレスにあると言えますが、他のほとんどの体の不調や病気もストレスが原因と言えてしまいます。
ストレス学説とTMS理論との混同
腰痛に関しましては、ストレス学説の他に、TMS理論という考え方があります。
TMS理論は、ニューヨーク大学医学部教授ジョン・E・サーノ博士が確立した理論です。
TMSは、Tension Myositis Syndromeの略称で、日本語では「緊張性筋炎症候群」となります。
TMS理論は、心理的な緊張によって、血管が収縮して血流が悪くなり、患部が酸欠になることで痛みが出るという理論です。
このTMS理論の日本の第一人者の長谷川淳史氏が、「腰痛は(怒り)である」という本を出しています。
長谷川氏は、腰痛の原因は、怒りという感情を抑圧することにあると言っています。



本当は怒りが自分にはあるけれど、誤った情報や、怒りを認められない理由が自分にはあることで、腰痛という症状があらわれているという考え方です。
最近では、TMS理論も知られるようになってきているのですが、ストレス学説とTMS理論が混同して語られていることがあります。



ストレス学説とTMS理論は何が違うんですか?



ストレス学説では、ストレッサーという外部刺激が腰痛の原因になっているという考え方です。
一方で、TMS理論では、心理的ストレス(怒り)を脳が誤って認識することで、腰痛が起こるという考え方です。
ですから、ストレス学説では、ストレッサーを取り除くことが目的になりますが、TMS理論では、ストレッサーを取り除くのではなくて、脳の誤った認識を正すことが目的になります。



なるほど、TMS理論では、脳の誤った認識が正されれば、腰痛が良くなるという考え方なんですね。



はい、ですが私個人的な意見としましては、ストレス学説とTMS理論の両方が腰痛を良くするのには大切だと考えています。
まずは、腰痛の原因になっていると考えられるストレッサーを取り除き、それでも腰痛が良くならなければ、脳の誤った認識の可能性を疑うのが良いと考えています。
腰痛原因ストレスまとめ
〇そもそもストレスとは
・ストレスというのは、ストレス学説を元にした考えで、外部からの刺激に対する人間の体の内部の反応のこと
・ストレスには、物理的・化学的・生物的・心理的なストレッサーがある
・ストレスに対して人間の体は、内部環境を維持するために様々な反応を起こす
・問題は、ストレスが長期間続いて、体が耐えられなくなること
〇腰痛の原因がストレスにある?
・姿勢の悪さや長時間の座位などによって筋肉や関節にかかる圧力(物理的ストレッサー)、緊張(心理的なストレッサー)による筋肉の緊張や血流の悪さによって、腰痛が起こる
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